「自分らしく働きたい」「本当にやりたいことを仕事にしたい」──そう思っても、現実には目の前の業務に追われて、自分の価値観を活かす余裕がないと感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、「価値観を活かす働き方」とは何かを明らかにし、どうすれば日々の仕事に自分らしさを取り戻せるのかを、キャリア心理学や行動科学の観点から解説します。小さな一歩から始めるための実践的なヒントもご紹介しますので、ぜひご自身の働き方に照らし合わせながらお読みください。
なぜ価値観に沿った働き方が重要なのか?
「仕事=生活の大半」だからこそ、自分軸が必要
仕事は1日の中でも多くの時間を占める活動です。
その時間を、他人の期待や義務感だけで埋めてしまうと、気づかないうちに疲弊し、「自分は何のために働いているのか?」という空虚感に繋がりかねません。
反対に、自分の価値観に沿った仕事は、モチベーションが内側から湧き出すため、ストレス耐性や創造性にもプラスの影響があります。
心理学の裏づけ:価値観とモチベーションの関係
心理学では、「自己決定理論(Self-Determination Theory)」の中で、人がより主体的・自律的に動くためには、以下の3つが満たされることが重要だとされています(Deci & Ryan, 2000):
- 自律性(自分で選んでいると感じられること)
- 有能感(自分にできるという感覚)
- 関係性(他者とつながりがあると感じられること)
ここでいう「自律性」とは、まさに価値観に基づいた選択ができているかどうかに関係しています。
自分の価値観を明確にする3つのワーク
これまでの仕事や人間関係の中で感じた「なんか違う…」というモヤモヤを3つ書き出し、その理由を掘り下げてみましょう。
例:
- 会議で発言が軽視された → 「対等な意見交換を大切にしたい」
- 残業を当然とする風土 → 「プライベートの充実も尊重したい」
モヤモヤは、あなたの「大切にしたい価値観」が侵されたときに現れるシグナルです。
仕事も含めた理想の1日の過ごし方を、朝起きるところから夜寝るまで書いてみましょう。
その中に出てくる言葉やイメージから、「本当に望んでいる働き方」が見えてきます。
以下のような価値観のリストから、今の自分にとって大切だと思うものを5〜10個選ぶだけでも、方向性が整理できます:
- 挑戦/自由/貢献/家族/創造性/成長/誠実さ/影響力/安心感/学び…
無料で使えるワークシートも多く、例えば「16Personalities無料性格診断テスト」や「VIAキャラクター強み診断」などは1つの有効な手段でしょう。
価値観を仕事に活かすには?3つの実践ステップ
- 自分の価値観リストと、今の仕事内容・環境を照らし合わせてみましょう。
- 一致しているポイントは何か?ズレている部分はどこか?
この「ズレの可視化」は、転職や異動の判断材料にもなりますし、現職での改善のヒントにもなります。
いきなり仕事を変える必要はありません。まずは、今の環境の中で、自分の価値観を少しでも反映できる行動を見つけましょう。
たとえば:
- 「貢献」を大切にしたい人 → 新人のサポートに手を挙げる
- 「自由」を大切にしたい人 → 自分なりの提案をしてみる
小さな実践が、仕事への納得感とモチベーションを高めてくれます。
中長期的には、価値観をキャリアの“羅針盤”にして動くことが大切です。
たとえば:
- 「人を育てたい」なら教育・研修・人事へ
- 「創造性を活かしたい」なら企画・商品開発・フリーランスへ
価値観を軸にすることで、キャリア選択の“ブレ”が少なくなり、自分自身の決断に納得しやすくなります。
まとめ|価値観を知ることは、自分らしい働き方の第一歩
価値観は、他人と比べるものではなく、自分がどう生きたいか・働きたいかの軸になります。
それを意識し、行動に落とし込むことで、仕事への納得感や自分らしさが大きく変わります。
いきなりすべてを変えなくても構いません。
まずは、「自分が何を大切にしたいのか」に、きちんと耳を傾けてみること。
そこから“自分らしいキャリア”が始まっていきます。