「今の働き方に違和感がある」
「やりがいも見つからず、モヤモヤしたまま日々が過ぎていく」
そう感じたときこそ、自分の働き方を見直すチャンスです。
とはいえ、やみくもに悩んでも答えは出ません。
この記事では、キャリア心理学の視点をもとに、働き方に迷ったときに自分に問い直してほしい5つの視点を紹介します。
答えをすぐ出すのではなく、“整理するための問い”として活用してください。
悩みを抱えるとき、人は「視野が狭く」なっている
不安や迷いを抱えているとき、私たちの認知は防御的になりがちです。
「今の職場を辞める or 我慢する」といった極端な二択にとらわれてしまうのもその一例です。
心理学的にはこの状態を「認知のトンネリング(tunneling)」と呼び、視野が狭まり、柔軟な思考ができなくなる傾向を指します(Mullainathan & Shafir, 2013)。
だからこそ、視点を少しずらす“問い”を持つことが、働き方の整理にとって非常に効果的なのです。
働き方に悩んだときに見直したい5つの視点
① 「私は、今どこにエネルギーを使っているか?」
忙しい・疲れている・なんとなくしんどい──
そんなときに有効なのが、「何にエネルギーを奪われているか」に目を向ける視点です。
- 仕事の中身?人間関係?通勤?
- 本当はやりたいけど後回しにしていることは?
自分の“消耗ポイント”を把握することで、「変えるべきところ」と「守るべきところ」の輪郭が見えてきます。
② 「この働き方は、自分の価値観と合っているか?」
働き方の違和感の正体は、価値観とのズレにあることが多いです。
たとえば、「自由を大切にしたい人」が、細かく管理される環境で働いていれば、どんなに好待遇でもモヤモヤが続きます。
【補足】
キャリア理論では、価値観に沿った働き方が内発的動機づけ(intrinsic motivation)を高め、満足感と持続力に直結することが知られています(Deci & Ryan, 2000)。
③ 「自分にとっての“成長”とは何か?」
なんとなく焦っているとき、周囲のスピード感や成果と比べて、自分が“止まっている”ように感じてしまうことがあります。
でも、成長の定義は人それぞれです。
- 新しいスキルの習得
- 働き方の見直し
- メンタルの安定を保つこと
こうした“静かな成長”も、自分なりのキャリア形成には欠かせません。
④ 「“やめたい理由”ではなく、“変えたい理由”に言い換えられるか?」
「もう辞めたい…」と思ったときにこそ、この問いが役立ちます。
- 「上司と合わない」→「自分の意見をもう少し言える環境に身を置きたい」
- 「仕事が単調」→「新しい刺激や学びを取り入れたい」
“やめたい”は終わりの言葉ですが、“変えたい”は次の行動につながる問いです。
⑤ 「未来の自分は、今の選択をどう見るか?」
迷ったときほど、目の前の感情に引っ張られがちです。
そんなときは、半年後・1年後の自分に語りかけるように「今の自分の選択をどう見るか?」を考えてみてください。
未来の自分を基準にすると、感情と状況を切り分けて考える力(メタ認知)が働きやすくなります。
まとめ|答えを急がず、「問い」を持とう
働き方に悩むのは、決して悪いことではありません。
むしろ、働くことを真剣に考えているからこその迷いです。
そんなときは、「すぐ答えを出す」よりも、
- 今の自分のエネルギーの使い方
- 働き方と価値観の一致度
- 成長の定義
- “変えたい理由”
- 未来の自分からの視点
──この5つの問いを通して、自分の思考を整理し、次の一歩の方向性を探ることができます。
焦らず、迷いを“棚卸し”するところから始めてみませんか?